5月3日の日記「としまえん」
初めて、としまえん遊園地に行ってきた。
きっかけは、去年知り合って仲良くしてもらってるシングルマザーの女の子・なまいちゃんの娘さん・めいちゃんと遊ぼうという話になったことだった。
なまいちゃんは見た目は普通に可愛い20代女子だが、実は女手一つで、一人娘を育てている。
遊ぶときは、いつも両親に娘を預けて来てくれているそうだ。
だったら、一度、娘のめいちゃんも一緒に遊ぼうよ、という話になった。
場所は僕の方から、としまえんを提案した。
名前はよく聞くが、行ったことがなかったので、これに乗じて行ってみようという魂胆である。
子供と一緒に遊園地。
親からも「もうあんたは一生結婚せえへんねやろ」と諦められた、独身こじらせアラフォー男子にとっては、もはやファンタジーの領域である。
前日の夜は、おそらくめいちゃんよりも楽しみにしていて、なかなか寝付けなかった。
まさに、遠足の前日状態。
メンバーは、なまいちゃん、めいちゃん、僕、なまいちゃんのことを昔から知ってる森下君の4人。
森下君と僕は、めいちゃんとは初対面である。
当日は偶然、めいちゃんの5歳の誕生日だった。
池袋駅のホームで待ち合わせだったのだが、ホームに向かうエスカレーターの下でばったり、なまい親子と遭遇。
突然「わあ、めいちゃん初めまして」となって、びっくりしたのだろう。
めいちゃんは泣き出して、お母さんの後ろに隠れてしまった。
池袋に来る電車の中で、「はじめまして。なまいめいです」とあいさつの練習をしていたそうだが、それも叶わず。
人生は、なかなかリハーサルどおりには行かないものだと知った、めい5歳の初夏でした(ナレーション・美輪明宏(震え声))。
少し遅れてやってきた森下君は、めいちゃんへの誕生日プレゼントを持参。
めいちゃんの大好きな「ハピネスチャージプリキュア」のシール手帳セットである。
シールが200枚も入っていて、箱の見栄えも豪華。
これはナイスプレゼントである。
めいちゃんはすっかりハピネスをチャージされ、行きの電車で中身のシールや手帳を夢中で物色していた。
さすが森下君。
女心をよくわかっている。
としまえんは、GWの4連休の初日とあって、ファミリー層を中心に大盛況だった。
関西でいうところのひらかたパークに似ているけど、ひらパーよりももっと親子連れに特化した感じだ。
「若者の皆さんやカップルは、ディズニーランドか富士急ハイランドへどうぞ。うちは昔ながらの遊園地でやってまんねん」というベテランの余裕を感じる。
まずは、お目当ての「ハピネスチャージプリキュアショー」の会場へ。
入園したのが朝10時過ぎで、ショーのスタートは朝11時から。
早めに行って最前列の席をゲットだ!とはりきったものの、客席は、まだ開演まで45分もあるのに、すでに満席。
立ち見だったらステージのそばのエリアをまだ確保できたので、男2人で場所取りを担当。
なまい親子はその間に、メリーゴーラウンドとアンパンマンハッピースカイに乗りに行った。
2人が戻ってきて、いよいよプリキュアショー開幕。
ストーリーは、キュアラブリーをもっとおしゃれにしてあげようと、キュアプリンセスが手作りのバッグをプレゼント。
それを見ていた怪人サイアークと手下のチョイアークが、おしゃれじゃないバッグに変身させる。
しかし、そんなことを知らないキュアラブリーは「おしゃれなバッグだー!」と喜ぶ。
思惑がはずれたサイアークたちは、なんとかバッグがおしゃれじゃないことをわからせようとする。
全体的に、「正義VS悪」ではなく、「おしゃれVSおしゃれじゃない」になっている。
とにかく、おしゃれ押し。
「おしゃれ=善」「ダサい=悪」という図式になっていて、ちびっこたちへのおしゃれ啓蒙がすごい。
30分あるショーの10分ほどが経ったころ、めいちゃんがママに言った。
「おしっこ」
ショーの途中で、なまい親子はトイレのため、いなくなった。
残った僕と森下君は、2人でプリキュアショーの続きを見る。
その間、約10分。
………。
何の時間やねん!
リアルにプリキュア好きの大きいお友達みたいになってしまっている。
その後、無事なまい親子も戻ってきてくれた。
ステージにはキュアハニーも登場しサイアクダーをやっつけ、最後はプリキュア3人が主題歌を踊って、大団円。
ショーのあとは、お待ちかね、お昼ごはんタイムである。
なまいちゃんがわざわざ、お弁当を作ってきてくれた。
鮭のおにぎり、赤飯のおにぎり、鶏のから揚げ、卵焼き、タコさんウインナー、プチトマト、ほうれん草のおひたし、きゅうりのお漬物、オレンジ。
すごく美味しい。
子供のころ、家族でひらかたパークに菊人形を観に行ったときのことを思い出してしまった。
なんか懐かしい感じ。
感激である。
美味しい昼食タイムのあとは、乗り物に乗ろうということで、子供用の急流すべり「ミニフリュームライド」と、左右にスイングしながら回転する「ロッキンタグ」に乗車。
めいちゃんはちょっとスリルがある乗り物が好きらしく、どちらも「楽しかったー」とご満悦の様子。
混んでいたので待ち時間が長かったのだけど、並んでいるときに、なまいママから、めいちゃんは虫好きだということを聞いた。
特にアリとダンゴムシが好きなのだという。
実際、乗り物に並んでいる最中、めいちゃんはアリを見つけてつかまえたり、ダンゴムシを見つけては手に乗っけたりしていた。
アリはともかく、ダンゴムシなんて遊園地になかなかおらんよ。
子供の視界って、すごい。
そんなめいちゃんにうってつけの、「としまえんのもり 昆虫館」に行くことに。
珍しい世界の昆虫が生きたまま展示されていて、カブトムシやクワガタが、手に取って触れるという。
カブトムシが触れると知って、めいちゃんのテンションも急上昇。
彼女はテンションが上がると、ぐるぐる回るかぴょんぴょん跳ねる。
昆虫館に向かう途中も、ぴょんぴょん跳ねながら「♪ムシムシムシ~」と自作の歌も飛び出す上機嫌ぶりである。
大混雑のGWのとしまえんの中で、こんなに静かな場所があったのかというぐらい誰もいない、穴場スポットのようなところに昆虫館はあった。
異空間に迷い込んだような静けさである。
ジブリの映画「なまいとめいの神隠し」が始まるのかと思った。
花や枯葉の擬態をしたカマキリや、3本角のあるカブトムシや、キラキラしたクワガタなど珍しい虫が展示されていて、昆虫館はとても面白かった。
めいちゃんも大人3人も、虫が動くと「今動いた!」と大興奮である。
最後に、昆虫と触れ合うコーナーがあった。
係員もおらず、ただ部屋の中の木に、わりと高級そうなカブトムシやクワガタがいる。
これらの虫が触り放題、つかみ放題。
この自由度に、逆に驚く。
持って帰る人がいてもおかしくないだろうに。
めいちゃんは、小さな木片につかまっているカブトムシの、木片の部分を持ちながらカブトムシの背中をなでていた。
なでながら、「優しくしてるから大丈夫」とつぶやいている。
なまいママによると、「幼稚園で先生に、『虫をさわるときはこっちが優しく接したら、虫さんも噛んできたりしないから、虫さんには優しく接しましょうね』って言われてるんです」と解説してくれた。
なるほど。
だから「優しくしているから大丈夫」なのか。
めいちゃんとカブトムシの2ショットを写真に撮ったり、僕もクワガタを触りに行ったりしていたら、突然めいちゃんが「ギャー!」と叫んで、カブトムシの木片を放り投げ、火が付いたように泣き出した。
今日イチの号泣である。
どうやら、ずっとおとなしくしていたカブトムシが、急に動いてめいちゃんの指に触れて、びっくりしてしまったらしい。
床に落ちた木片の近くで、結構高級そうなカブトムシが、ひっくり返ってもがいている。
ちょっと「伝染るんです」を思い出してしまった。
ワンワン泣きながら、めいちゃんはこう言った。
「優しくしてたのにー!」
ぴょんぴょん跳ねながら「♪ムシムシムシ~」と自作の歌が飛び出していたハイテンション時代がもはや懐かしい。
まさかこんなことになるとは。
いくら優しくしていても、裏切られることはあるんだと知った、めい5歳の初夏でした(ナレーション・美輪明宏(震え声))。
おやつタイムにしましょうということで、アイスやかき氷を食べる。
かき氷に「5」の形をしたろうそくを立てて、ハッピバースデーの歌を大人たちが歌うも、めいちゃん5歳はずっとよそ見をしていて、全然聞かず。
子供のこういう自由なところがほんと面白い。
再び乗り物タイムで、「バタフライダー」と「模型列車」に乗車。
ずっとママにくっつき虫だっためいちゃんだったが、ようやく打ち解けてきてくれたのか、バタフライダーは森下君と2人で乗るという。
ペダルを漕ぐと回転しながら空中に浮かぶというアトラクションだったのだが、残念ながら身長100cmのめいちゃんは、ペダルまで足が届かず。
ベルトをすることによって、上体が後ろに行ってしまったらしい。
それが不服だったようで、降りてくるときのめいちゃんの表情が「最初届いたのに、なんだよぉ」という、村松利史のような顔になっていて、それが個人的にはツボに入って笑ってしまった。
模型列車には、僕と隣同士で乗ることに。
乗る前に列に並んでるときに、初めて手をつないでくれた。
出発直後には「楽しいねー」と言っていたが、後半はすっかり飽きていた。
園内を歩いていたら、しょうゆの焦げるいい匂いがしたので、みんなで焼きだんごを食べる。
めいちゃんはそのときミニペットボトルのりんごジュースを飲んでいたのだが、一口飲むたびに、フタを力いっぱいぎゅーっと閉めるのである。
僕は「そんなフタをきつく閉めたら、開かなくなるで」と言って、めいちゃんのペットボトルを手に取り、力いっぱいフタを開けようとするけど開けられない、というふりをした。
「ほら、フタ開かへんで。めいちゃん、どうする?もうジュース飲まれへんわ」
すると隣にいた森下君が、「いやいや、さすがにそんなことはないやろう」とペットボトルを取り上げ、全力でフタを開けようとするもやっぱり開かない、というノリボケをした。
「めいちゃん、ほんまや!もう開かへんわ」
森下君がペットボトルをめいちゃんに返すと、彼女は、自分でフタをひねって開けてみせた。
「えええーっ!マジか!?」
「すごいな!めいちゃん!!」
僕も森下君も開けられないペットボトルのフタを、めいちゃんが軽々と開けてみせるという即興ミニコントである。
すぐさまジュースを一口を飲んで、フタをかたく閉めるめいちゃん。
「めいちゃん、そんなきつく閉めたら、もう開かへんで。ちょっとペットボトル貸してみ…」
結局このくだり、3回やった。
めいちゃんの「私は開けられるよー」という顔が、とても可愛かった。
あとから、なまいちゃんに聞いたのだが、めいちゃんは自分が超人になったようなこのくだりが気に入ったらしく、帰りの電車で何度もやっていたそうだ。
「帰ったらじいじとばあばにもやってみる」と。
じいじとばあばに、この関西的なノリボケを要求するのは、ちと酷である。
最後は「ミニサイクロン」という子供用ジェットコースターにみんなで乗った。
めいちゃんはほんとにスリル系の乗り物が好きなようで、「楽しかったー」ともう1回乗りたい感じだった。
閉演時間も迫ってきたので、帰ることに。
急にめいちゃんの表情が曇りだし、足取りが重くなる。
出口を出て、駅に向かう途中で歩かなくなり、ついにしゃがみこみ、泣き出してしまった。
「帰りたくないの?」と聞くと、泣きながらうなづくめいちゃん。
気持ちはすごくわかる。
俺も子供のころ、そうやったもの。
というか、今でも、めっちゃ楽しい遊びのあとの帰り道は、名残惜しくて寂しくなる。
ただ、僕と森下君的には、これはすごく嬉しかった。
初めて会う知らん兄ちゃん2人と一緒やったのに、帰りたくないと駄々をこねるぐらい、今日は楽しんでくれたんやなあと。
これが昼2時ごろに、ママに「もうおうちに帰りたい」と泣いて訴えられていたら、かなりの敗北感を感じてただろう。
結局最後は「電車の中で、プリキュアのシール貼って遊ぼう」となだめすかして解決。
キュアモリシタンのアイテムが、役に立った。
5歳の子供と遊ぶ機会なんてなかなかないけど、めちゃ楽しかった。
しかし、お母さんは大変だ。
5歳の子供って結構重いのに、なまいママはめいちゃんが疲れたら、しょっちゅう抱っこしてたもんなあ。
でも、仲良し親子で、お母さんと娘っていいなあと思った。
そして母の愛は偉大。
海より深し。
ちなみに、帰りに「今日一番楽しかったのは何?」とめいちゃんに質問したら、「ジェットコースター」と答えた。
「逆に今日一番楽しくなかったのは何?」と聞いたら、めいちゃんは「カブトムシ」と答えた。
by otomulab | 2014-05-06 05:04 | 日記